A井さんに数冊、文庫本をいただいたので、池井戸潤さんの「最終退行」を読み始めた。
都市銀行の中でも「負け組」といわれる東京第一銀行。
羽田支店の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。
バブル期の放漫経営の責任をもとらず会長として院政を敷き、なおも私腹を肥やそうとしている頭取に対して、リストラされた行員が意趣返しに罠を仕掛ける。
その罠は東京湾に沈んでいる日本軍の復興のための金塊を探すというもの。
蓮沼はその罠に関わるうち、頭取が行っている大がかりな不正の匂いをかぎつけ、ついに反旗を翻す。
日本型金融システムの崩壊を背景に、サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする長編ミステリー。