北重人さんの「白疾風(しろはやち)」を読み始めた。
北さんの作品は「夏の椿」「蒼火」を読んでいるが、いずれもが、ハラハラ、ドキドキさせてくれる作品である。
北さんはこれからが作家として脂が乗り、素晴らしい作品が登場するだろうと思っていた矢先、昨年亡くなられてしまった。本当に残念なことだ。
この「白疾風」は信長の伊賀攻めにからくも生き残った「疾風」の異名を持つ元忍者の三郎が主人公。
三郎は戦乱の時代忍者として活躍したが、今は武蔵野の村に身を寄せ、畑を耕し静かな生活を送っていた。
齢は50を半ば過ぎ、老いはやってきているのだが、身体を鍛錬することは欠かさず行っている。
そんな最中、風魔残党やら、武田の隠し金山の噂など、不穏な気配が漂ってきた。村を飲み込む何者かの陰謀が始まる。
三郎は再び忍びとなって村を守るため立ち上がる。江戸初期の街づくり描写も面白い。